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今回は、足のトラブルで多い『外反母趾』の改善方法についてのお話です。
外反母趾は、痛みがない場合でも放っておくと症状が激しく進行してしまう可能性のあるトラブルです。症状を理解して対処する事が一日でも早く良くするための第一歩となります。
『歩いていたら、足の親指が痛くなりやすいなぁ』とか『最近、足の形が変形してきてるかも・・・』と感じて病院に行ったけど、対処方を教えてもらえなかった・・・。何とか自分で対処する方法はないかなぁ・・・?
こんな悩みを抱えていらっしゃる方のために、最も簡単な改善方法を3つに厳選してお届け致します。
えっ、たったの3つ?と思われるかもしれませんが、身体の状況を変えるためには毎日続ける事が一番の近道になります。だから、続けられそうな簡単な方法を3つに厳選してみました。
方法を覚えるためにも、今日から早速試してみましょう。続けるのが一番の近道ですよ~。大事なことなので二回言いました!
コチラの動画でも説明しておきますので、確認してみてください。
目次
1 外反母趾とは?
外反母趾※とは母趾(足の親指)のつま先が小指側に向かって曲がり、母趾の根元部分が反対側に突き出るような形に変形した状態の事をいいます。

変形してしまう原因は、一般的に言われている『先の細い靴の着用』以外にも様々な原因が存在し、それらの原因が複数重なることで症状が進行していきます。
様々な原因があるという事は人それぞれ形の違いもあり、原因によって5種類の外反母趾が存在するので後で説明していきますね。
足は、二足歩行で生活する私たちの土台部分でもあります。痛みが出ていないからといって放っておくと、変形や症状がより悪化したりする怖いトラブルという事を覚えておきましょう。
『思春期から成人早期の外反母趾の自然経過』についてエビデンスレベルの高い報告がある。それは、拇趾は外反位を呈するがMTP関節の適合性がある例は正常範囲の上限であり変形は進行しないこと。適合性が消失した亜脱臼の場合は約50%が悪化し晩期成人にみられる前足部障害へ進展する可能性が高いこと。亜脱臼はないが遠位関節面と基節骨関節面が平行でないdeviated型の進行は明らかではないが症例によって経過が異なるので経過観察が必要である。と述べている。
引用 外反母趾 診療ガイドライン2014 より
※『外反』とは、身体の外側に向かって反る(曲がる)事から名付けられています。
※『母趾』とは、足の親指のことをいいます。
2 外反母趾は5種類ある!? その種類と原因とは?
外反母趾は、原因や症状の違いにより5種類に分ける事ができます。
2-1 靭帯性外反母趾

足裏には横アーチ(横中足靭帯※)という構造が存在し、親指~小指にかけ五本の指の付け根を緩やかな弧を描くような形で存在し、足の前部分を支えています。
※横中足靭帯とは、上の画像の赤丸で印をつけた部分で、関節を補強しているベルトのような役割をするものです。
その横アーチが緩んでしまう事(開帳足とも呼ばれる)で、親指が小指側に大きく曲がっているのが特徴的です。
【原因】
私たちヒトは、本来なら成長過程で裸足や草履などの鼻緒の付いた履物を履いて歩く事で足の筋肉や骨格を鍛えて発達させます。
しかし、現代生活では乳幼児期から靴や靴下を履かせてしまう事が多くなったり、外を歩く時も平坦で安全な場所を歩く事で足に対する刺激が不足してしまい足裏の筋肉が発達しにくい状況にあります。
足趾※の踏ん張る力や指を動かす力が不足すると、足趾の筋肉や横アーチが発達せず弱ってしまい『開帳足』と呼ばれる”ペチャっと広がった足”になってしまいます。
※『足趾』とは、足の指の事です。
上の画像の丸印つけた部分の筋肉(足趾の骨間筋)が弱ると横中足靭帯が緩み”開帳足”となって靭帯性外反母趾に移行しやすいと言われています。
2-2 仮骨性外反母趾

親指自体はそれほど急に曲がっていませんが、親指の付け根の骨が異常に発達する(仮骨形成ともいう)ことで出っ張ってしまい曲がったように見える状態をいいます。出っ張った骨(仮骨)が親指を押し上げてしまう事もあります。
【原因】
歩き方に問題があります。歩くときに、親指の付け根部分を地面に強く打ち付けるような歩き方をするため、打ち付けていた部分を衝撃から守るために防御反応として分厚く発達して発生します。
具体的には・・・
①ヒールやパンプスが脱げないように、足趾を縮こませるようにして歩く。

②かかとの無い靴(スリッパやサンダルなど)が脱げないように、足趾を上げながら歩く。

など上記のような歩き方をしていると、親指の付け根に衝撃が加わりやすくなります。
2-3 混合性外反母趾

靭帯性外反母趾と仮骨性外反母趾が合併して発生した状態をいいます。この外反母趾は、中高年以降の女性に多く見られるタイプです。
【原因】
混合性外反母趾は最初、靭帯性か仮骨性のどちらかから始まり、年齢を重ねるにつれ両方の要素が伴ってくるモノです。
突き出た親指の付け根部分が靴などと擦れるので、その部分に存在する滑液包※が腫れて痛むこともあります。

上の画像の”赤く腫れた部分”がダメージを受けた滑液包の位置です。
※『滑液包』とは、中にクッションの役割をする液体が入った袋状のものです。
2-4 ハンマートゥ性外反母趾

外見では、生まれつき足趾が長すぎたり、指がハンマーのような形に縮こまっていたり、指が上を向きすぎた形をしていたりなどの特徴があります。
また、足趾が極端に上を向いて、且つ縮こまった状態になっているため、足裏の指の付け根部分の幅が広くなり皮膚も肥厚してしまっています。足趾が細く弱々しく見えるのも特徴的です。
※『肥厚』とは、分厚くなっていること。一般的には”タコ”や”胼胝(べんち)”とも呼ばれる。
【原因】
前述のとおり、原因は生まれつきの足と足趾の形にもよりますが、悪い歩き方などにも影響される事があります。
悪い歩き方とは、足趾を使わず足裏の指の付け根だけで地面を蹴るような歩き方です。そして、この悪い歩き方を作っている原因がサイズの合わない靴や靴下などです。
狭く窮屈な靴を履いて歩く事で、靴の中で足趾が圧迫されて縮こまってしまったり、その反対に、大きめの靴を履くことで靴が脱げないように足趾を上げてハンマー状※にギュっと曲げて歩いたりする事などが影響しているようです。

※上記のようなハンマー状に指が浮いた足を『ハンマートゥ』とも呼びます。赤色の赤色の矢印の部分で地面を蹴るように歩くためタコ(胼胝)が出来やすい。
2-5 病変性外反母趾

病的な要素(リウマチ※、へバーデン結節※など)や事故やケガなどが加わり、脱臼や変形が起こることで、それに伴って発症する外反母趾です。
※『リウマチ』とは、関節の慢性的な炎症により、関節や関節内の骨に痛みや変形が起こる病気。
※『へバーデン結節』とは、指の第一関節がコブ状に腫れあがり、曲がったように変形してしまう病気。
リウマチ性のタイプは血液検査などで分かるようですが、へバーデン結節のタイプは血液検査でも出ないので見落とされがちで、対処法なども分からずに多くの方が悩まれています。
テーピングで矯正したり、インソール(靴の中敷き)を靴に入れたりする事で多少の維持は期待できますが、形を戻すには手術以外困難であり、また手術の予後※や再発率なども未だにハッキリと分かっていないのが現状のようです。
まずは、病変性外反母趾かどうかの診断を受けるために、専門医による検査や指導を受けるように心がけましょう。
※『予後』とは、今後予想される健康状態のこと。見通しの事をいいます。
【原因】
リウマチ、へバーデン結節、事故などのケガや病気が発生原因になります。
3 自分の足をチェックしてみよう
まずは、自分の足が外反母趾なのかどうかを調べてみましょう。
3-1 セルフチェック7項目
①靴を履いて歩くとき、親指の付け根に痛みを感 |
②足の指を自由に動かせない。例えば、グーパーする運動が出来ない。など |
③親指が巻き爪になっている。 |
④足の横幅がベチャっと広がっている。 |
⑤床と土踏まずの間に、ボールペン1本分程度の隙間も無い。 |
⑥ペタペタと足裏全体で着地するように歩く癖がある。 |
⑦足裏の指の付け根部分に、タコが出来ている。 |
上の項目で一つでも当てはまる方は、外反母趾もしくは予備軍であると考えて下さい。
3-2 外反母趾のレベルを計測
【第一趾測角度という方法で計測します】
この方法では・・・
①足のかかとの内側~親指の付け根内側を通る直線 |
②つま先の内側~親指の付け根内側を通る直線 |
①と②の線が交差する部分で角度を測っていきます。
色々なサイトで紹介されている、『外反母趾角度(HVA)』※という計測方法とは違うので、気を付けて下さいね。
※外反母趾角度(HVA)とは、レントゲンにより撮影された足指の骨の角度を測ったものです。
下の写真を参考にして下さい。
この緑の線に囲まれた赤い部分を分度器などで測って下さい。
【外反母趾角度と第一趾測角度の目安】
外反母趾の程度 | 第一趾測角度 | 外反母趾角度(HVA) |
正常 | ー13~6度未満 | 0~15度 |
軽度 | 6~12度未満 | 15~20度 |
中等度 | 12~38度未満 | 20~40度 |
重度 | 38度以上 | 40度以上 |
4 自宅で出来る、簡単に外反母趾を改善させる方法3つ
外反母趾を悪化させない方法や改善させる方法は、書籍やインターネットでも数々のモノが紹介されています。
今回は、その無数にある方法の中から『自宅で出来る、簡単な方法』を3つ紹介します。
4-1 靴下を『5本指ソックス』に変えて歩き方を正す
外反母趾の原因の一つである『歩き方』を簡単に、且つ自然と補正してくれる方法です。

なぜ5本指の靴下が良いかというと、本来ヒトは裸足で歩く事(足趾を使う事)を前提に生まれてくるので、その状態に簡単に近づける事が出来るためです。
本来の正しい歩き方というのは、かかとから着地してシッカリと指で地面を母指球~足趾を使って後ろに蹴りだすようにして歩いています。
つまり、5本指ソックスを履く事で裸足の状態に近づけ、足趾を使った正しい歩き方を再現する事が簡単に行えるという事です。
【正しい歩き方を画像で説明】
①踵が地面に着地する


②足裏の外側に体重が移動する

③足裏の前半分(前足部)に体重が移動する

④母指球と拇趾に体重移動し地面を離れます(地面を蹴るとも言う)

歩行の際は上記①~④の順番で、体重移動するように歩きます。
この、足趾で地面を蹴るという動作が正しい歩き方では重要になりますが、それを行うには各指が独立して動かせる『裸足』に近い状況が必要になります。
通常の形の靴下ですと、各指がギュッと締め付けられて独立した動きが出来にくく、指を自由に使う事が出来ません。
ですが、5本指の靴下だと各指の締め付けから解放されて独立した動きが出来るようになるので、指で地面を蹴るようにして歩けるようになります。
※裏に滑り止めが付いている物の方が、フローリングの床でも滑りにくいのでオススメです。
4-2 足のエクササイズ(ストレッチ&指の運動)
外反母趾を悪化させる原因の一つである『指のチカラ』を回復させるための方法です。指の筋肉を柔軟にしてしっかりと動かすことで、足のチカラを最大限に発揮できるように回復させていきましょう。

※上の画像にある指と指の間にある筋肉(骨間筋)をエクササイズしていきます。
・外反母趾ストレッチ(所要時間 4分程度)
この方法では、足のこり固まった筋肉を柔らかくほぐして、次の『指の運動』を行いやすい状態にします。
【手順】
①各指をつまんで10回ずつ回します。 |
②各指を足の裏側に向けて曲げていきます。 |
③各指を足の甲側に向けて曲げていきます。 |
④足の甲にある、各指の間の筋肉をほぐす。 |
⑤足の各指の間に手の指を絡ませて、そのままゆっくりと10回ぐらい回します。 |
⑥そのままの状態で足の甲・裏側に向けて曲げていきます。 |
詳しいやり方は、動画を観てください。
・指の運動(所要時間 3分程度)
①立った状態で、親指だけを上に反らしていきます。(5秒程度) |
②立った状態で、親指以外の4本指を上に反らします。(5秒程度) |
③立った状態で、全ての指を使ってグー・チョキ・パーをするように動かします。 |
①~③を10周繰り返すと、慣れていない人でも3分程度で完了します。
詳しいやり方は、動画を観て下さい。
※足でグーパーする運動をした時に、親指が開かずに閉じる方向にしか力が入らない方は、逆に悪化してしまう事もあります。無理せずに、ストレッチで指と足裏を柔らかくしてから運動を行うようにしましょう。
【足指エクササイズのビフォー・アフターの写真】
左側がエクササイズを行う前で、右側がエクササイズを行った後の写真です。
右側のエクササイズを行った後の方が、しっかりと足を曲げれるようになるくらい柔軟性が増していますね。
4-3 簡単なテーピング矯正
外反母趾を悪化させる原因の一つである『足の形』を整え、正しい歩き方や指の動きを行えるようにするためのサポート方法です。
親指が縮こまった状態で歩いていると、悪い歩き方になってしまう事がありますので、テーピングで形を補正してしていきます。
詳しいやり方は、動画を観て下さい。
【動画で説明】
【写真で順番を説明】
- 用意する物:テーピング4本(足の大きさに合わせてカット。写真を参考にして下さい)

①親指の内側にテープを引っかけて、かかと方向引っ張りながら張り付ける。
②同じように親指の裏側から引っ張りながら張り付ける。
③拇趾付け根~小指付け根を一周巻きつける(足裏側を引っ張りながら)
④土踏まずを持ち上げるように足の甲を一周巻きつける。
足の変形を放置したまま歩いていると、外反母趾の症状がより悪化してしまう可能性がありますので、テーピングで補助していく事も大切な方法です。
テーピングは巻くのが難しそうで抵抗があるかもしれませんが、実際に巻いてみると意外に簡単に巻けてしまいます。案外簡単なので、早速試してみてくださいね。
5 まとめ
外反母趾は、そのまま放置しておくと症状が悪化してしまう可能性があるので、早めに発見して正しく対処していく事が大切になります。そのためには、まず正しい情報を知り、知識を身につけておく事が重要です。
正しく対処できる知識を身につけたら、あとは地道に続けていく事が一番の改善法です。地味な作業でも続ける事が一番大切です。大切なことなので、二回言いました!
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